ミノムシシルク

ミノムシという発見

日本の代表的な在来種である「オオミノガ」の幼虫(ミノムシ)が吐く糸。
この糸の繊維としての「強さ」が、これまでにない特徴を持つことを見出しました。

ミノムシとは

ミノガ科(Psychidae)※の蛾の幼虫であり、極地や砂漠をのぞいて全動物地理区に広く分布し、世界では約1000種、日本では約50種が生息している。
ミノムシはカイコやクモと同様に、シルクタンパク質から成る糸を吐糸する。
ミノムシは孵化後まもなく、このシルクの糸を使って木の葉や茎を巧みに絡めながら、ミノと呼ばれる巣をつくり、成虫になるまでの間、巣から出ることなく、巣と共に行動する。
ミノの長さが10mmに満たない小型のミノムシが大半であるが、日本でよく知られているオオミノガの幼虫
(ミノ長:30~55mm)やチャミノガの幼虫(ミノ長:20~35mm)など、大型のミノムシも多い。
ミノムシの中には、地衣類、蘚類、菌類、陸上藻類などを食餌とするものもいるが、大型のミノムシの多くは、植物の葉、茎、樹皮を食餌とするものが多く、一般に広食性を示すことから害虫と分類されることも多い。

※ミノガ科(Psychidae)は鱗翅目二門類の原始的な上科であるヒロズコガ上科に属する
(参考文献)
日本産蛾類標準図鑑 III ミノガ科 三枝豊平, 杉本美華 (学研教育出版), pp.136-155, 2013.
日本産ミノガ科のミノの形態(2) 杉本 美華 昆蟲.ニューシリーズ 12(1), 17-29, 2009

提供:農研機構

ミノムシシルクの特徴

ミノムシシルクの特徴
高タフネス

ミノムシシルクの強度物性

破断強度 2 GPa
弾性率 28 GPa
破断伸び 32 %
繊維径 約10㎛
タフネス 364MJ/㎥

さらに優れた2つの特徴

さらに優れた2つの特徴

ミノムシシルクの糸の強さと
高タフネスの秘密

力学特性と構造との因果関係を解明

糸束を引張り、切断に至るまでの構造変化をX線散乱法により追跡
※ 放射光施設 SPring-8 (兵庫県播磨科学公園都市) の高輝度X線を利用

矢印

・一次構造(タンパクのアミノ酸特徴配列)の特定
・結晶型、結晶化度の特定
・階層構造(結晶と非晶の織りなす高次構造)の特定

ミノムシルクの糸の強さと超高タフネスの秘密

基礎的な技術を確立

基礎的な技術を確立

実用化された場合の応用例

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